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【イベントレポート】FinGATE Campus #12 『持続可能な未来を築くインパクト投資』を開催しました!

8月19日、日本橋茅場町FinGATE KAYABAにて「FinGATE Campus #12 『持続可能な未来を築くインパクト投資」を開催しました!会場・オンライン合わせて。テーマに関心のある100名以上に参加いただきました。

「FinGATE Campus」は、日本橋兜町・茅場町に拠点を構える日本最大級の金融インキュベーション施設「FinGATE」にて、2022年10月からスタートしたコミュニティです。様々なテーマのセミナーとともにネットワーキングのための交流会も開催しており、毎回満席の人気シリーズとなります。

今回のテーマは「インパクト投資」!

今回のテーマである「インパクト投資」、最近では耳にすることも増えてきました。簡単に言うと、社会や環境にプラスの影響を与えることを目指しながら、同時に投資リターンも追求する投資のことです。例えば、再生可能エネルギーや教育、医療などの分野に投資することで、社会的課題の解決に貢献しつつ、利益も得ることを目的としています。利益だけでなく、社会的価値を重視する点が特徴です。
2024年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」には、経済的リターンと社会的・環境的効果との両立を目指すインパクト投資が触れられるなど、政策としても様々な議論が進められています。

まず、MCの株式会社オリナスパートナー 徳川 むつみ氏によるオープニングです。本日ご登壇いただく皆様のご紹介のあと、主催のFinGATEチームより施設や取り組みの説明がありました。

MCは(株)オリナスパートナー代表取締役の徳川氏
平和不動産 中島よりFinGATEのご紹介

◾︎講演1:『インパクト投資の未来予想 ~二人の偉大なインパクト投資家のケースから学べる点は何か?~』

最初の講演では、株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ 代表パートナーの熊沢 拓氏です。同社は「20世紀のリスク、リターンのパラダイムを、21世紀型のリスク、リターン、インパクトに変えることによって、サステナブル社会の実現をリードする」を理念に、社会的インパクトの評価や測定を中心とした事業を展開しています。

ソーシャルインパクト・リサーチ 代表パートナーの熊沢氏。
「インパクト投資という手法を、世界を変えるツールとして使っていってほしいと強く思っています」

2名の著名なインパクト投資家の理念や実績などの紹介から、社会的インパクトをどう考えるか解説いただきました。
まず、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の発明において、特に重要な役割を果たしたイギリスの慈善活動家のロナルド・コーエン。ロナルド・コーエンはSIBを通じて、社会的課題の解決に向けた新しい資金調達のモデルを提案し、それを実際に実現することで、多くの国で採用されるきっかけを作りました
次に、バングラデッシュのムハマド・ユヌス氏です。貧困層など自立困難な方達に対する融資を行うグラミン銀行を設立し、彼らが貧困から脱却することや女性のエンパワーメントを支援しました。国際的な政策への影響を与えるなど、その活動が世界的に認められてノーベル平和賞を受賞しています。
国内でインパクト評価を実施している企業の事例(カゴメ、リクルートなど)についても、具体的な指標を持って説明いただきました。

◾︎講演2:『企業におけるインパクト・マネジメント』

次に、一般財団法人 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ理事で、株式会社 Stem for Leaves 代表取締役の高木 麻美氏の講演です。
高木氏は、インパクト評価やマネジメント、経営戦略・事業戦略策定・調査研究などを専門領域に、官民の幅広い取り組みに関わられています。

近著:「社会課題解決のための金融手法と実務:寄付・助成から革新的フィランソロピーへ」第3章 認証・インパクト評価「企業の法人格・認証制度、IMMおよび情報開示による動き」

講演では、インパクトをどのように測定していくのか、身近なことに置き換えて分解して考えてみたり、ユニリーバ等企業での実施事例をもとにその意義を説明いただきました。
特にBtoC事業を展開している企業は社会との接点やコンシューマーの顔が見えやすいのでインパクト投資に取り組みやすいことや、インパクトを定義しやすいもの・しにくいものに対してどう測定基準を定めていくのか。また、開示内容をステークホルダーとのコミュニケーションに活用していく中で、どの項目を選択して提示していくことが必要なのか、などインパクト投資に関わる方達が試行錯誤しながら議論や実証を進めていることなどが解説されました。

株式会社 Stem for Leaves 代表取締役の高木 麻美氏
「重要なのはインパクトを測定して、モニタリングしている情報を経営にフィードバックすることで、さらに継続的にインパクトを高めていくこと」

◾︎パネルディスカッション:『持続可能な未来を築くインパクト投資』

最後はパネリスト4名、モデレータの藤井達人氏によるパネルディスカッションです。

パネラー:五十嵐剛志氏(KIBOW社会投資ファンド一般社団法人インパクトスタートアップ協会監事)
パネラー:高木麻美氏(株式会社Stem for Leaves 代表取締役)
パネラー:熊沢拓氏(株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ 代表パートナー)
パネラー:松下敏之氏(カディラキャピタルマネジメント株式会社 代表取締役)
モデレータ:藤井達人氏(みずほフィナンシャルグループ デジタル企画部執行役員・デジタル企画部部長/一般社団法人日本ブロックチェーン協会理事/一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS)

KIBOW社会投資ファンドの五十嵐氏(「IMPACT REPORT 2023」参照)、カディラキャピタルマネジメントの松下氏による事業紹介の後、Slidoでオンライン・会場から寄せられた質問紹介とともにパネルディスカッションがスタートしました。いくつかご紹介します。

藤井氏:そもそもどうしてインパクト投資に関心を持ったのでしょうか?

五十嵐氏:元々は会計士としてプロボノ活動でNPOの支援をやっていたが、会計分野だけでは、資金調達や寄付集めは可能なものの、どれだけ社会を良くできたのかが表現できなかった。どのように表現できるのか考えている中で興味関心が移っていきました。

藤井氏:国内インパクト投資の課題はなんだと思いますか?

五十嵐氏:日本は欧米に比べて2−30年遅れていると言われていますが、定義の仕方によっては10兆円を超えるくらいの急拡大を見せています。そもそも日本は資本性と社会性の両立を目指している国民性とも言われていますし、実際の価値観を見ると遅れていないと思います。良い行いをしてもひけらかすことは上品ではないという風習や、島国で言葉で表現しなくても分かり合える空気の文化もあり、単に”インパクトを評価するということをやってこなかった”ためにグローバルに進出した時に理解されづらいという背景も大きいと思います。

高木氏:元々は海外から入ってきた概念ツールですので、日本が後追いをしているというのは事実かもしれません。一方で、日本人の特性として「これはいいもの、やっていこう」と認めたら一斉に機運が高まるということもありますので、インパクト投資についてもそういった風が吹いてきているように感じています。様々な場所でコミュニティが広がってきており、関心を持つ方も増えてきましたので、日本から発信できる部分も出てきているのではないでしょうか。

たくさんのご質問が寄せられました!ありがとうございました!

以下はSlidoでいただいた質問(抜粋)です。時間いっぱいまで皆さんにお答えいただくことができ、大いに盛り上がりました。(時間の関係上、お答えできなかったものもたくさんありました。たくさんお寄せくださりありがとうございました!)

Q:五十嵐様の、インパクトを契約に盛り込む、という点が興味深いです。可能であれば、何を契約に盛り込むのか教えていただけませんでしょうか。KGIやKPIそれ自体を盛り込むことをできれば、KPI達成に向けて必要なヒトをアサインすることなどを合意することもできるかと思います。

五十嵐氏:投資契約書への盛り込み方としては、その企業が定款で掲げている事業目的のために投資をするという記載が必要です。スタートアップ企業だと事業目的に関する表記は抽象的な場合も多いですが、投資をする時点では 定款上もより具体的な事業目的に書き換えてもらったり資金使途を制限してもらうこともあります。数値等のKPIは変わりうるので、別紙で合意をすることが多いです。

付加価値を生み出して収益を得ている以上、あらゆる企業が何らかの社会課題解決に貢献しているという考えと、それでは「何でもあり」になってしまうという問題意識がありますが、皆さんはどう考えますか?

インパクト投資という言葉を聞くと投資家にとっては富を産むものとして聞こえはよいですが、実は、企業活動による利潤を社会の課題の解決にわりあてさせるもので、上場企業の収益率をさげるものではないですか?

インパクト投資におけるVCの投資対象企業は、日本の大手VCの投資先と被るのでしょうか?大手VCとのリターンや投資回収期間の目線感の違いも気になります。

行政と社会課題解決型ビジネスの関係性について質問です。社会課題解決的な文脈のビジネスは本来は税によりカバーされる領域であり、投票により行政が代わり、節約・予算拡大・用途可視化、するのが「インパクトの最大化」だと思いますが、それが出来ないから民間スタートアップがやらないといけない、という感じでしょうか。

クロージングでは、今後展開される多くのイベントなどのご紹介があり、本編は閉会となりました!

インパクト投資のイベント、盛りだくさんです!
次回FinGATE Campusの予定も!

ネットワーキングでは来賓のセブン銀行常務執行役員 西井様より乾杯の発声をいただきました。ご参加いただいた皆さん、ご登壇者の皆様、本当にありがとうございました!

ピザとお寿司でネットワーキング!西井さんいつもありがとうございます泣
ご登壇いただいた皆様と。ありがとうございました!!!

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