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【FinGATE Interview】カディラキャピタルマネジメント株式会社/サステナブルな投資運用を通じて「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」

今回お話を伺ったのは、2022年5月創業のカディラキャピタルマネジメント株式会社 代表取締役社長、坂本一太(さかもと かずた)さんです。同社は、国内ではほかに例を見ないサステナブル投資に特化した独立系新興運用会社で、独自の手法を用いた投資運用を行っています。本インタビューでは、創業のきっかけや事業内容、国内市場に対する課題感などについてお話を伺いました。

環境や社会のポジティブな循環を実現する投資運用を目指して

カディラキャピタルマネジメント株式会社は、「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」をミッションとしています。

坂本:環境や社会に関する課題が世界的に深刻化する中、日々の投資判断においても企業活動の外部性(Externality:企業活動が直接関係のない第三者へ影響を与える要素)をきちんと考慮しなければならないというのが、当社の考えです。事業内容が環境や社会にプラスの影響を与えれば、事業基盤がより強固なものとなって企業の持続的な成長につながり、結果として最終受益者に良い結果がもたらされます。このようなポジティブな循環をつくることが、私たちのミッションであり「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」という言葉で表現しています。
企業価値の評価に独自の手法を取り入れている点も当社の特徴のひとつです。一般的に、企業価値は財務情報をベースに計測されますが、私たちはそこに、企業の事業活動が生むインパクトといった非財務の要素も組み込んでいます。そして、計測された企業価値が市場の時価総額よりも高いときに生じる「バリューギャップ」に対して投資を行う。つまり、リターンを得られるだけでなく、環境や社会にもポジティブな影響を与えられる投資の運用を目指しています。

柔軟な挑戦と多様なプレーヤーとの連携を目指して

選んだ独立の道

カディラキャピタルマネジメントを創業した理由の一つとして、坂本さんは「大きな組織の一員として動ける範囲に限界を感じた」と話します。

坂本:例えば、エンゲージメントすること自体はどのような組織でも可能です。しかし、本当に必要なのは、投資先企業だけでなく、規制当局・アセットオーナー・アセットマネージャー・NPOといった多様なインベストメントチェーンのプレーヤーと連携し、全体をインパクト志向の方向へ導くことです。つまり、市場全体をよりサステナブルにするためのエンゲージメントが必要で、そのためには全てのプレーヤーが外部性を考慮した価値判断をできるようにしていかなければなりません。そのためには、投資先企業とだけでなく、多様な市場参加者と対話を重ね、価値基準の重要性を伝えることが求められます。

しかし、大きな組織に属していると、このような活動にはどうしても制約が生じます。情報管理の観点や、他のステークホルダーへの配慮など、さまざまな理由で市場全体のプレーヤーと柔軟に対話することが難しいためです。そういった理由もあり、独立してミッション達成を追求できる組織をつくりたいと思いました。

カディラとは「椅子」という意味の言葉で、ステークホルダーのために常に居場所を用意しておこうと いう想いが込められています


環境や社会のポジティブな循環を実現する投資運用を目指して

国際機関であるIMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)での勤務経験もある坂本さんですが、日本の運用業界に対し、どのような課題感を持っていたのでしょうか。

坂本:日本では「資産運用立国」と言われることもありますが、資産運用は国全体の経済において非常に重要な役割を担っていると思います。しかし、多くの業界で新しい挑戦をするスタートアップが業界を活性化させている中で、日本に新興の運用会社(Emerging Managers)が少ないことに課題意識を持っていました。
サステナブル投資についても、海外に比べて日本にはそれに特化した運用会社がほとんどないのが現状です。例えば海外の機関投資家が日本株を運用する場合、日本国内に拠点を置いた独立系の運用会社を選びたいというニーズが多くあります。しかし、上場日本株を扱う独立系の運用会社は複数あるものの、ヨーロッパの投資家が重視するサステナビリティに特化するとなると弊社のほかにはゼロに近いでしょう。

国内の機関投資家の中には、日本株については自社にチームを持っているため、外部の運用会社の採用が難しいところも多くあります。その一方で、資産運用業の発展を考えて、独立系をサポートしようという動きも見られ始めています。このような動きが業界全体に波及することを期待しています。

代表取締役社長、坂本一太さん

日本企業が持つ潜在的なインパクト性を引き出す

同社は、2024年1月に行われた東京アセットマネジメントフォーラムで、EMのショーケースに選ばれました。

坂本:現在、当社ではアイルランド籍のUCITSファンドの一任運用を受託しています。これは欧州版の公募投資信託で、「インパクトを考慮した企業価値計測手法(インパクト統合価値)」を使い、上場日本株に投資しています。この投資戦略のポイントは、企業自身が気付いていない自社のインパクト性を、私たちが引き出して投資家に伝えられるという点です。
上場企業がインパクト性という観点で事業活動を展開すれば、投資家も評価ポイントに入れるようになりますし、インパクト性が評価対象となれば企業側の活動も変わる可能性があるでしょう。私たちが企業を評価する際に心掛けているのは、企業の規模や既成概念にとらわれず、本当に良い影響を及ぼしているかどうかに注目することです。
そのためには地道なリサーチが必要ですが、最終的に経営者が自社の事業のインパクト性をどれだけ理解しているかがポイントになります。個人的には、今後東京にサステナブル投資に特化した市場をつくれば、世界的にも面白いマーケットができるのではないかと思っています。

事業登録が可能だったことがFinGATEに決めた理由のひとつ

同社は、FinGATE BLOOMに2年半ほど前から入居されています。FinGATEや兜町の魅力についてもお聞きしました。

坂本:FinGATEさんに入居を決めたのは、事業登録が可能なシェアオフィスだったことと、入居者の多くが同業種のスタートアップ企業だったからです。スタートアップはどうしても心細さを感じることが多いですが、同じような境遇の方々が近くにいるだけで安心感があります。設備面でも非常に満足しています。電力が100%再生エネルギー由来であるという点も、私たちにとっては重要なポイントでした。アクセスが良い立地なのでイベント会場としても利用できる点が魅力です。最近では「FinGATE Club」を活用させていただきました。強いて言えば、定期的な交流イベントがあるとさらに良いですね。

金融ベンチャー起業家がおすすめ!!今回の兜町グルメは、絶品のお蕎麦とブルックリンラガー

私はよく「松月庵」という蕎麦屋にランチを食べによく行きます。めんつゆではなく、塩だけでも食べられるほどお蕎麦が美味しいんですよ。お会計はキャッシュオンリーなので、行かれるときは現金を忘れずに(笑)。

夜は、「B by The Brooklyn Brewery」がおすすめです。地下にある少し隠れ家的な立地がまたいいんですよ。


JAZZライブも定期的に開催されている「B by The Brooklyn Brewery」の店内

ありがとうございました!
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