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【FinGATE Interview】 日本資産運用基盤グループ 「運と縁が生まれる街から金融の構造を大きく変える」

新しい情報・文化の発信基地として再開発が進み、ますます賑わいが増す日本橋・兜町エリア。資産運用・Fintech等の金融系スタートアップの起業・成長を支援するサービスオフィス「FinGATE」は、FinGATE BASE、FinGATE KABUTO、FinGATE KAYABA、FinGATE TERRACE、FinGATE BLOOMの5つの施設があります。これらの施設には、現在90社以上のスタートアップ、行政機関、団体等が入居しています。

「FinGATE Interview」では、注目企業をピックアップし、現在の事業や展望、そして日本橋兜町・茅場町やFinGATEで働くことについてお話を伺います!

今回は、金融機関の資産運用関連事業を裏側からプラットフォームとしてサポートする、日本資産運用基盤グループ(JAMP)の代表取締役社長である大原啓一氏に、今のビジネスモデルを考えたきっかけや、兜町・茅場町に期待するところなどを伺いました。

ご経歴について教えてください。

大原 大学を卒業して野村資本市場研究所に入社した後、第二新卒として興銀第一ライフアセットマネジメント(現・アセットマネジメントOne)に転職しました。そして、27歳の時にロンドンへ転勤となり、8年間働きました。27歳から35歳までという、ビジネスパースンとしてはインプットの時期をロンドンで過ごしたことが、今の仕事に大きな影響を与えたと思います。

日本に帰国した後、マネックスグループとクレディセゾン、バンガードの3社から出資を受けてマネックス・セゾン・バンガード投資顧問を立ち上げ、個人向けにこれまでにない新しい資産運用サービスの提供に取り組んでいました。その会社の社長を退任した後、もう一度、起業にチャレンジしてみようと考えて立ち上げたのが、日本資産運用基盤(JAMP)です。

事業内容について教えて下さい。

大原 簡単に申し上げますと、日本の金融機関の資産運用関連ビジネスを裏側からサポートする仕事です。提供するサービスは、大きく分けるとGBAラップ支援ソリューション、投信委託業支援ソリューション、OCIOソリューションの3つになります。例えば、GBAラップ支援ソリューションですが、これは資産運用会社や証券会社が提携する地域金融機関や金融商品仲介業者(IFA)を通じて提供する、ゴールベース(GBA)型ラップサービスの裏側のインフラとして同社のサービス立ち上げや運営をご支援させていただくものです。

資産運用会社や証券会社がファンドラップサービスを独自に提供する場合、お客様の契約データなどを管理するシステムを構築しなければならず、そこには莫大な費用がかかります。この手のシステムを、今までの日本の金融機関はすべて自前で揃えてきましたが、新しくシステムを構築する際のコストは言うに及ばず、それを保守して稼働させ続けるにしても、多額のランニングコストがかかります。このシステム自前主義が、日本の金融業界、資産運用業界の新規参入を阻んできたのは事実です。

また、今の日本にはこのようなシステムが多く存在し、十分にキャパシティもあるため、私たちはこれら既存のシステムを活用して、新しいサービスを展開する金融機関などに提供します。そうすれば、素晴らしいビジネスアイデアを持っているけれども、システム構築などにかけるお金が無くて新規参入できないという、新興金融機関にありがちな課題解決の一助になるはずです。今の日本の金融機関が抱えている課題を探し、それを解決するためのソリューションを提案する。これが日本資産運用基盤のメインの仕事です。

日本資産運用基盤グループ代表取締役社長の大原氏

そのビジネスアイデアはどういう経緯で思いついたのですか。

大原 やはりロンドン勤務時代に経験したことがベースになっています。ロンドンで金融スタートアップを立ち上げる場合というのは、ほとんどが1人か2人でスタートさせます。日本のように10数名を集めてようやくスタートというのではないのですね。

なぜ1人か2人でスタートできるのかというと、外部のサポートが非常に充実しているからです。

日本で金融スタートアップを立ち上げようとしたら、仮に10億円を調達できたとしても、恐らく大掛かりなシステムを購入し、自前で金融事務部門を運営するなどしたら、あっという間に使いきってしまうことも十分あり得ます。そのうえビジネスが失敗に終わったら、借入金だけはしっかり残りますから、それを何とかして返済しなければなりません。つまり、起業そのものが極めてリスキーなのです。

本来、ビジネスで成功するためには、トライ&エラーの数が大きな意味を持ってきますが、日本では失敗が許されないのです。やる気のある人には成功するまで何度でもトライ&エラーできるような環境をつくらなければなりません。

それと同時に、会社を立ち上げたのは良いけれども、システムや事務をどう回すかということばかり思考が費やされ、肝心のビジネスに目が向かなくなったら、それは本末転倒です。そこはすべて外注することで、経営者がビジネスに専念できる環境をつくりたい。そう考えているなかで、今のビジネスモデルの必要性を改めて感じたのです。

会社を設立して7年目を迎える今年。ビジネスは予定通りに進んできましたか。

大原 先ほどのGBAラップ支援ソリューションについては、個人の資産運用に関する関心の高まりもあり、サービスの提供先が野村アセットマネジメントから、アイザワ証券、証券ジャパン、三井住友DSアセットマネジメントへと確実に拡がりを見せており、サービスの支援残高が24年5月に100億円を突破。今後も取り扱い金融機関は拡大する見通しです。

※「支援残高」とは、業務受託対象資産額(AuA:Assets Under Administration)をいいます。

また、提供サービスの2つ目の柱である投信ビジネス支援ソリューションですが、投信委託事業への参入を希望する中堅・新興の資産運用会社向けに、日本初となるファンドマネジメントカンパニー(FMC)機能を提供しています。通常、投資信託を設定するためには、「投資運用業」のライセンスを取得することに加え、ミドル・バックオフィス業務を行うためのシステム・専門人材を確保する必要がありますが、FMCのサービスを利用することでこれらの負担を大きく軽減することができます。第一号案件として肥後銀行グループの九州みらいインベストメンツを投資助言会社とした私募投資信託を設定いたしました。現在、政府が進める「資産運用立国実現プラン」により、資産運用業への進出に関心が高まっており、今後こうしたサービスへのニーズは増々高まると期待しています。

さらに、3つ目のOCIOソリューションですが、地域金融機関の有価証券運用のサポートをしています。そもそも有価証券運用は地域金融機関にとって本業ではありませんし、決してこの分野に強いわけではないので、そこを私たちが丸ごとサポートさせていただいております。公表できる先としては、富山銀行との間で、同行が運用している約1300億円の有価証券運用について、アドバイザリー契約を締結させてもらっています。

このように、既存の金融機関にとって本業ではない部分を私どもにアウトソーシングしていただき、本業に専念できる環境を整えることによって、地域銀行など地域金融機関ならではの強みに特化したビジネス展開が出来れば、新たな成長シナリオを描ける可能性が高まります。

私がJAMPを立ち上げた6年前には、このような話をしても、「おっしゃることは正しいのですが、それを今の日本の金融業界で行うのは難しいですよ」という答えしか返ってきませんでした。長年にわたって染み付いた自前主義を捨てることが出来なかったのです。

しかし、今では地域金融機関もアウトソーシングを積極的に活用し、本業に注力できるよう、組織と事業内容の再構築を始めるところが散見されるようになりました。正直、わずか6年という短い時間でここまで金融業界が変化するとは、会社を設立した当初は想定できませんでした。その意味では、私たちのビジネスモデルで事業参入したタイミングが、非常に良かったのかもしれません。

FinGATEという場に対してどのような期待を抱いていますか。

大原 会社を立ち上げたばかりの頃は、恐らく大半の経営者は不安だと思います。だからこそ情報を求めますし、そのためには広義の金融業界が集まっている場所に行くことが肝心です。

FinGATEはその名の通り、金融系スタートアップの集積地になっていますし、入居している会社の人たちは皆、自分のビジネスを軌道に乗せるために苦労もしています。困った時にはお互い様ということで情報や知恵を出し合える場所ですし、そういう人間関係を築ける場であり続けてほしいと思います。

兜町・茅場町という街にはどのような期待を抱いていますか。

大原 私がJAMPを立ち上げたばかりの頃、困ったことがあった時に相談に乗ってもらっていた方がいるのですが、その方がよく言っていたのは、「経営者は出歩かなければ駄目だ。とにかく人と会え」ということでした。

外出しなければ何も生まれません。その方が言うには、経営者にとっては「運と縁」が大事だということでしたし、それは私自身も納得しています。

普通に街を歩いていても、偶然の出会いはなかなか無いものですが、FinGATE界隈、つまり兜町・茅場町界隈では、少なくとも私の経験で申し上げると、偶然の出会いが結構たくさんあります。その場で仕事の相談を受けることもあります。兜町・茅場町には運と縁が生まれる街であり続けてほしいですね。

ご入居いただいているBASEにて

ありがとうございました!

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