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【FinGATE Interview】株式会社EduCare 代表 村上 健太氏/新しい教育ファイナンスで、学びの未来を切り拓く

今回お話を伺うのは、FinGATE KAYABAにオフィスを構える「株式会社EduCare」代表の村上 健太(むらかみ けんた)さんです。株式会社EduCareは、教育ファイナンスに特化したスタートアップ企業。現在、2025年1月の本格的な事業立ち上げに向けて、準備を進めています。具体的な事業内容や会社を設立した背景、教育ファイナンスに対する思いなどをお聞きしました。

国内で唯一、教育ファイナンスに特化したスタートアップ

株式会社EduCareは、Fintechのスタートアップ企業として2022年に設立されました。「Make Education Affordable(~教育をより手軽に~)」をビジョンに掲げ、学生や若手の社会人に対し、ファイナンス面で学びをサポートすることを主な事業としています。

村上:理系私立や医学・薬学など、高度な専門知識を学ぶ大学の場合、奨学金だけでは学費をまかないきれないのが現状です。そういった場合の「追加ファイナンス」として教育ローンの貸し付けを提供することで、これまでの金融機関では対応しきれなかった教育ファイナンスのニーズやギャップを埋め、教育格差を解決していきたいと考えています。現在、国内で教育ファイナンスに特化している金融機関は、EduCareが唯一です。ありがたいことに、こうした理念が評価され、『Forbes』の2024年4月号で「世界を救う希望100人」に選出していただきました。また、パイロット養成学校の学生に対し、PoCを実施するなど、具体的な動きも始めています。

『Forbes』の2024年4月号、「世界を救う希望100人」の記事はコチラ!🔽

写真: グロービス主催「G-STARTUP」第7期Demo Dayにてソーシャル・インパクト賞を受賞


学生と社会人を対象にした2つの事業を展開

本格的な事業展開は来年からですが、株式会社EduCareが事業の主な柱としていこうと考えているのは、大学生向けと若手社会人のリスキリング向けの2種類の教育ローンです。それぞれの仕組みやメリットについてお聞きしました。

村上:大学生向けの教育ローンは、親の連帯保証がなくても借りられるのが大きな特徴になると考えています。まず、進学先や職種に基づいて、将来的な収入や学費の回収期間を定量的に見える化する「教育ROI」という指標を金融機関に提供します。金融機関はその他の与信基準と合わせて総合的に勘案しながら貸し付けを判断する仕組みです。現在、こちらの事業では教育ROIの指標やサイトの構築を進めているところです。

社会人向けのリスキリング事業は、スキルアップを目指してスクールに通う若手社会人に向けた教育ローンで、EduCareが直接貸し付けを行います。既存の社会人向けの教育ローンの審査通過率は低いのですが、私たちはスタートアップの特性を生かし、審査通過率に柔軟性を持たせた形で提供することによって、リスキリングを考えている社会人にキャリアアップの機会を提供できるだけでなく、受講生が増えることでスクールのビジネスチャンスも広がると考えています。


「学生が学費を借りられない」を解決したかった

村上さんが会社を設立した背景には、ご自身の大学時代の経験が大きく影響しているそうです。

村上:大学4年生のときに、家の事情で、学費を自分で工面しなければならなくなりました。国公立大学だったので学費は比較的安かったのですが、それでも生活費を含めて親に頼ることはできませんでした。銀行に「教育ローンを借りたい」と相談したところ、「学生さんにはお貸しできません」ときっぱり断られてしまって。結局、奨学金も使わず、アルバイトを掛け持ちして何とか学費や生活費を稼ぎました。もともと両親が自営業をしていたので、いつかは自分で商売をしたいという思いはありました。学費に関する事業をやりたいと考えるようになったのは、この経験があったからです。学費が払えないのに、学生だから借りられない。この問題をどうにか解決できないかと思いました。そこで、まず企業に就職して経験を積みながら、構想を温め続けて会社設立を実現させました。

FinGATE KAYABAエントランスにて

支援する側・受ける側、双方にとって価値のある取り組みを

現在、学生の2人に1人が奨学金を利用しているといわれており、教育ファイナンスのニーズが非常に高まっています。しかし、教育ローンを利用したくても、銀行の審査に通らずに借りられないという家庭も少なくありません。

村上:「親ガチャ」という言葉があるように、経済的な格差がそのまま教育格差につながっています。最近では学費無償化の議論も進んでいますが、全国の大学を無償化するには相当な財源が必要ですし、数年で実現するのは現実的ではないでしょう。また、奨学金の返済に関する問題もあります。ファイナンス面での支援だけでなく、金融教育やキャリア教育も合わせて学生に提供することが、ソーシャルベンチャーである私たちの役割だと考えています。

実は、(住宅ローンなどに比べて)、教育ローンは銀行にとってはあまり魅力のある儲かる事業とはいえないんです。ですが、若年層の取り込みに必死な金融機関が多い中、教育ローンは学生が一番最初に接する金融商品なので、学生に教育ローンを利用してもらえば、卒業後にクレジットカードの作成や住宅ローンの利用などを勧めるクロスセルにつながります。そういう意味では、銀行にとっても訴求価値は十分にある取り組みだと思います。アメリカでは、学生を契約者とする教育ローンはすでにありますし、日本でも学費高騰や人材不足の観点から地銀を中心に「将来見込み年収」でローンをつける取り組みも一部ですが現れてきています。

FinGATE KAYABAは、金融系の仲間と情報交換できる場所

村上さんは、FinGATE KAYABAを拠点に事業を進めています。同じ金融系スタートアップが集う環境は、村上さんにとっても多くの刺激を与える場となっています。

村上:設立してから現在までは、金融ライセンスの取得、チームの採用、システムの開発などの準備をしてきました。立ち上げ前とはいえ、色々と金融領域特有の課題、突破しないといけない法律などの壁もあるのですが、茅場町という土地柄、入居企業には同じように金融分野が多く、情報交換や相談をできるのが魅力です。他の入居企業の方や金融庁などの監督官庁との交流会もありますし。また、会議室やオープンスペースも使えるので、とても働きやすい環境だと思います。強いて言えば、今、オフィスの拡張を考えているのですが、空きがないのが残念ですね。これから事業立ち上げになりますので、より頑張っていきたいと思います。

金融ベンチャー起業家がおすすめ!今回の兜町グルメは「串揚げ

&BBQ!!」

この辺りには、おいしい串揚げ屋さんがあるんですよ。紅ショウガの串揚げが特に絶品です!

ランチで好きなのは、キャンプ場をコンセプトにした空間でBBQなどが楽しめるお店「REWILD OUTDOOR TOKYO」です。株主さんが来社されたときにお連れすると、すごく喜ばれます。


ありがとうございました!
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