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【FinGATE Interview】Siiibo証券株式会社 「社債の民主化で資金調達手段と投資先の自由度を拡げる」

新しい情報・文化の発信基地として再開発が進み、ますます賑わいが増す日本橋・兜町エリア。資産運用・Fintech等の金融系スタートアップの起業・成長を支援するサービスオフィス「FinGATE」は、FinGATE BASE、FinGATE KABUTO、FinGATE KAYABA、FinGATE TERRACE、FinGATE BLOOMの5つの施設があります。これらの施設には、現在90社以上のスタートアップ、行政機関、団体等が入居しています。

「FinGATE Interview」では、注目企業をピックアップし、現在の事業や展望、そして日本橋兜町・茅場町やFinGATEで働くことについてお話を伺います!

社債専門ネット証券「Siiibo証券(シーボ)」

プロ向けマーケットのイメージが強い社債市場。その民主化を目指すSiiibo証券は、日本で唯一ともいえる、社債に特化した証券会社です。なぜ、社債に注目したのか。どのような企業が起債し、どのような投資家が購入しているのかなどを、代表取締役の小村和輝さんに伺いました。

Siiibo証券の事業内容については、こちら。

なぜSiiibo証券という社名にされたのでしょうか。

小村 Siiibo証券は、社債に特化したネット証券会社です。社債とは、事業法人が必要な資金を調達するために発行する債券のことです。そのなかでも私共が取扱っているのは、「私募社債」といって50名未満の少人数に対して勧誘・発行を行える社債です。Siiiboというのは造語ですが、その言葉の由来は「私募」から取りました。
なぜ” i ”が3本並んでいるのかというと、これは” Innovations for Individual Investors”の頭文字を取ったこと、弊社の創業が1月11日、1が3つ並んだ日だったので、1を” i “に見立てたことによるものです。

なぜ社債に特化したネット証券を立ち上げようと思ったのですか。

小村 以前勤務していたドイツ証券では、国内外の社債やCDS(Credit Default Swap)、仕組債といったクレジットリスクに関する債券性の商品を担当しておりました。株式のように主に株価変動で投資収益を得る商品と異なり、一定したインカムゲインの確保を主な目的とするのが債券です。社債は株式に比べて収益の見通しが立てやすく一定のニーズがあるのですが、発行体は大半が大企業で、最低購入単位を1億円とする社債などもあり、投資家側もプロが中心です。

個人向けに販売される債券といえば、昨今ですと仕組債のひとつであるEB債(Exchangeable Bond)等がございますが、こちらは様々なオプション性を含む複雑な商品となります。株式の価格変動を参照しているケースが多く、これでは株式を中心に運用している個人にとって、適切なリスク分散になりづらいという問題点があります。実際に昨年から一部の金融機関でも販売停止が始まっています。

私募社債はシンプルなインカムゲイン型の商品であり、株式と組み合わせることによってポートフォリオ全体のリスク分散を図ることができますし、限定された投資家向けに発行するための開示等に係るコストが公募社債よりも一定低く済み、スタートアップ企業でも資金調達のために活用できます。
従来の社債市場に比べて、投資する側、資金調達する側双方の対象者を広げることにより、社債の民主化を進めるのが、私たちの目指す姿です。

Siiibo証券 代表取締役CEO 小村和輝氏

具体的に、どのような企業がどのくらいの規模で社債を発行するのですか。

小村 直近では、一度の発行につき1億円程度の資金を調達するケースが大半を占めています。
過去の発行実績は、途上国においてマイクロファイナンスを展開する五常・アンド・カンパニー株式会社、ウェルネス事業を展開する株式会社TENTIAL、不妊・少子化の解決に挑む医療ベンチャーのVarinos株式会社など、ミドルステージ以降で社会性の高いビジネスを営むスタートアップ企業を中心に2023年2月3日時点で10社の資金調達をお手伝いさせていただきました。
公募、私募の別に関係なく、社債投資における主なリスクはクレジットリスクです。これは発行企業の財務内容が悪化し債務不履行が発生するリスクのことですが、社債投資では投資家の方々にこのクレジットリスクを取っていただきます。
また、償還まで保有すると償還日に元本が返ってくることになりますが、数年先にならないと現金化できない点を不安に思われる方も中にはいらっしゃるかと存じます。このようなニーズに応えるため、私共が取扱う私募社債の多くは、発行後、半年に1度の頻度で換金できる設計にしています。発行企業が早期償還を行う形となり、価格は額面金額となります。

発行企業はどのように選定されるのですか。

小村 多くは過去に発行された企業やVCからの紹介です。もちろん、紹介経由であっても全ての企業が発行できるというわけではありません。弊社内での独立した審査部門にはクレジットアナリスト出身の者等がいて、社債発行を希望する企業の財務内容などを審査します。
発行審査では、経営の在り方も重視します。社会課題を解決し、より良い世の中をつくるための商品やサービスを提供している企業を応援したいという投資家ニーズが強く、そのような企業の資金調達をお手伝いしたいと考えています。逆に、あまりマッチしない企業であれば、その段階では発行は難しいとお伝えすることもあります。

社債発行を希望する企業は多いのですか。

小村 これまでスタートアップ企業の資金調達手段といえば、金融機関から融資を受けるか、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資を受け入れるかが主な選択肢でした。
ただ民間の金融機関融資は、業歴や信用力、その他トラックレコードなどの面で不利なスタートアップ企業が利用するには、一定ハードルが高くなります。
しかし欧米等では、スタートアップ企業によるデット調達が一般的であり、日本国内でも調達手段の多様化が求められてきております。
エクイティ調達だけでは、資本コストが高く希薄化が生じることから、事業ステージに応じてエクイティのみでなくデットでの調達を併用することが望ましいと考えます。
私募社債であれば、融資等と比べて条件設計の自由度や、資金使途の柔軟性が高い調達が可能となるため、今後さらなる活用が期待されます。

貴社サービスを利用する投資家層について教えて下さい。

小村 保有金融資産の額で申し上げると、中央値で 3,000万円から5,000万円あたりと認識しております。もちろんより多くの資産を保有される方もいらっしゃいますが、富裕層の方々が殆どというわけではなく、アッパーマス層・準富裕層と類される方が中心です。
1案件に対して投資される金額の平均は、100万円から200万円程度です。
保有金融資産が数千万円以上の方になると、株式だけではなく複数の投資対象に資金を分散させることが、ポートフォリオのリスクをコントロールするうえでも必要になってきます。
分散投資を考える場合、銘柄分散の文脈の話が多い印象がありますが、それだけでは充分なリスク分散効果を得ることができません。より重要なのは、資産クラス、国・地域を分散することです。
この点、債券は株式と商品性を分散できるため、ポートフォリオ全体のリスクを調整できるという利点があります。

これからどのように事業を展開していきますか。

小村 最近、「ベンチャーデット」の領域が注目され始めています。昨年「特定投資家私募制度」が整備され、非上場企業の新株予約権付社債についても、指定を受けた証券会社であれば取扱えるようになりました。当面は、このベンチャーデットのマーケットに注力していきたいと考えています。それと共に、やはり「社債」という金融商品の存在を、一人でも多くの方に知ってもらえるように事業を推進していきます。

これから起業しようと考えている人たちに一言、アドバイスをいただけますか。

小村 弊社はスマートに成長してきたわけではなく、今に至るまで泥臭いことの連続で、都度何とか乗り切ってきたというのが正直なところで、あまり有益なことは言えないかもしれません。私自身の反省から言えるのは、フィンテック企業は業登録が完了するまでは本業で売上を立てられないので、それ以外である程度キャッシュフロー向上に貢献する事業を持っておくと、精神的な負担等も少ないだろうとは思います。また、弊社はスタートアップの資金調達をサポートさせていただいている立場ですが、それ以外の内容でも一人の起業家として私にできることでしたら何でもお力添えさせていただきますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

最後に、FinGATEにこれから期待することを教えて下さい。

小村 2022年12月に入居させていただいたばかりですが、創発や共創はリラックスした環境の中でこそ生まれると考えており、FinGATEにはそれを備えるための多くの工夫が施されていると感じております。金融街から新しい金融の形を発信したいという想いと共に、これからもこの環境を大事にしていただきたいと思います。

ありがとうございました。

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