【FinGATE Interview】株式会社400F 「お金の問題を出会いで解決する」
本記事は以前FinGATEのホームページにて公開していたテナントインタビュー記事を再掲しているものになります。
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街の再開発が進み、新しい情報・文化の発信基地として、そして資産運用・Fintech等の金融系スタートアップの集積地として注目されつつある日本橋兜町・茅場町。ここに今、金融系スタートアップの起業・成長を支援するインキュベーション施設「FinGATE」があります。現在、FinGATE BASE、FinGATE KABUTO、FinGATE KAYABA、FinGATE TERRACE、FinGATE BLOOMの5施設が整備されており、60社以上の金融系スタートアップ、行政機関、金融プロモーション団体等が入居しております。
それぞれの会社の今と未来、そしてFinGATEや日本橋兜町・茅場町に寄せる想いと期待について、話を伺ってまいります。
お金の悩みを相談したいユーザーと、プロの知見でアドバイスを行うお金の専門家をマッチングさせる、株式会社400F。その代表取締役CEOを務める中村仁氏に、会社を設立した経緯やビジネスモデル、これから目指していくビジョンなどについて話を伺いました。
会社を立ち上げた経緯を教えて下さい。
中村 キャリアのスタートは野村証券で2008年から2010年まで野村資本市場研究所ニューヨーク事務所にて米国金融業界の調査に携わっていました。帰国して3年間は世界中の金融業界の調査を行いながら日本の証券業界がどう変わっていくのかを研究していたのですが、そこで得た答えのひとつが、ネットとリアルの融合でした。
2016年にある方からの紹介でお金のデザインに転職しました。この会社はロボアドバイザー・サービスを提供している会社なので基本的にはネットで自己完結するビジネスモデルなのですが、より多くの人に金融サービスを届ける場合ネットでの自己完結は難しいと思い、そこにどうやってリアルチャネルを組み込むかをずっと考えていました。
翌年の2017年にお金のデザインの社長に就任し、サービスの販売チャネル拡大を目的に、子会社として株式会社400Fを立ち上げました。
その後、お金のデザインは第一種金融商品取引業に関連する事業をSMBC日興証券に譲渡し、お客様の資産管理、アフターフォローはSMBC日興証券が担うことになりました。そのような経緯もあり、株式会社400Fのビジネスはお金のデザインとは完全に切り離して育てていこうと思い、お金のデザインの創業者と協議のうえ、独立することを決めました。
提供しているサービスの内容を教えて下さい。
中村 大きく3つに分かれています。マッチング事業、オンラインアドバイザー事業、エンタープライズ事業です。
マッチング事業は、まずユーザー個人に約30問のお金に関する定性・定量的なアンケートに答えてもらいます。しばらくするとお金の専門家からアドバイスがユーザーに届くので、それをご覧いただいた上で、専門家にもっとアドバイスをしてもらいたい場合は、チャットを通じたやり取り後、オンラインやリアル面談を受けることもできます。このサービスを受けるに際して、ユーザーに利用料金はかかりません。お金の専門家が月額3万円から5万円程度の登録料を当社にお支払いいただくことで成り立っているビジネスです。お金の専門家からすれば、このサービスを利用することによって新規のお客様にアプローチできる他、お客様の管理もすることができます。現在このサービスを利用して下さっているお金の専門家は700名程度います。これが「オカネコ」と呼ばれるマッチング事業です。
次にオンラインアドバイザー事業ですが、これはマッチング事業でカバーし切れないお客様をサポートするためのものです。現在、オカネコに流入してくるユーザーは、月間で4万名ほどになります。これを700名のお金の専門家だけでカバーするのは、物理的に大変で、どうしても手が届かないユーザーが出てきてしまいます。
またマッチング事業におけるお金の専門家からの証券アドバイスは、手数料の高い富裕層をターゲットにする専門家が多いですし、保険アドバイスはどうしても顕在層をターゲットにしやすい面がありますので、マッチング事業でカバーし切れない人が必ず出てきます。
そのような方々にも私たちのサービスを届けるために考えたのが、オンラインアドバイザー事業です。私たちは金融サービス仲介業を2021年11月に第1号として取得しました。金融サービス仲介業として証券、保険代理店として保険のアドバイスを直接お客様に提供しています。
最後にエンタープライズ事業ですが、私たちはマッチング事業とオンラインアドバイザー事業を通じて、お客様の属性、家計データに加え、チャットでのやりとりやオンライン面談すべてをデータ管理しています。ユーザーが今、何に悩み、どういうお金のニーズを持っているのかを分析しており、この分析を元にさまざまな金融機関に対して新規顧客開拓に関するコンサルティングを行っています。
700名のお金の専門家は、どういう基準で採用するのですか。
中村 もちろん一定の基準は設けています。それがないと法的に問題になるので、まずはお金の専門家を名乗るのに相応しい資格要件を満たしているかどうかで選別していますが、過去の経歴や前職での華々しい活躍ぶりなどを問うようなことはありません。なぜなら、我々が最も大事にしているのはユーザーだからです。たとえば米国公認会計士資格を持ち、欧州の有名プライベートバンクで活躍してきたスーパーエリートよりも、自分と同世代で自分と同じように小さな子供がいて、似たような環境で生活しているようなアドバイザーの方が相談しやすいという話をよく聞きます。つまり、ユーザーの方たちに対していかに親身になって相談に乗って差し上げられるかがとても大切になってくるのです。ですから、一定の資格要件を満たしてさえいれば、基本的にはFP、IFA、証券系の方、保険系の方、不動産系の方などカテゴリーを問わず、誰でも手軽にアドバイザーとして登録していただけるようにしています。
ユーザーの属性を教えて下さい。
中村 30代、40代の方がボリュームゾーンです。20代の方ももちろんいらっしゃるのですが、たとえば結婚や子供、住まい、転職といったようにライフイベントがたくさんあり、その都度お金の心配をしなければならないのは、やはり30代40代が中心です。
20代はライフイベントに際して必要なお金をどうするという以前に、まずは自分の収支をしっかり把握して毎月赤字にならないようにする、余ったお金をしっかり貯蓄に回す、という段階です。この段階ではそれほどアドバイスは必要なく、ネット完結型のサービスで十分対応できます。
また男女比で言うと、ほぼ半々です。フィンテックサービスは、「これは女性対象です」とうたわない限り、8割くらいは男性で占められるのが普通です。弊社は特に女性向けサービスをうたっているわけでもないので、男女比が半々というのはかなり珍しいケースです。
ただ、世の中において家計の財布を握っているのは誰なのか、それによって一番お金の悩みを抱えているのは誰なのかを考えた時、恐らく男性よりも女性の方が弊社サービスに親和性があるではないかというのが、私の個人的な感想です。
兜町やFinGATEに対して期待している点があれば教えて下さい。
中村 まずは兜町に対してですが、かつては証券の街だったものの株取引のインターネット化と共に凋落し、一時期はゴーストタウンのようになったものの、今では以前とは全く違う層の人たちが集まってきており徐々に街自体が発展し始めている。そんな印象を受けるのですが、このように街が発展していく過程に自分の身を置ける機会は、そうないと思っています。
もちろん、新宿や渋谷のようにずっと大勢の人を集めている街が、再開発などによって様変わりするというケースはよくありますが、兜町のように一度賑わいを失った後に復活の兆しを見せるケースはほとんどありません。
ベンチャー企業はトレンドに乗ることが大事です。その意味で、私たちは兜町で働くことによってまさにそのトレンドに乗っている。それによって自分たちのモチベーションも上がりますし、かつ金融ベンチャー界隈の人たちがFinGATEというコミュニティを通じて集まっているのはとてもありがたい話だと思います。
今フィンテック界隈は一時期に比べてやや盛り上がりに欠けていますが、この街が再び活性化していくのと同じように私たちもフィンテックを再び盛り上げていきたいと思います。
事業を通じて御社が目指しているビジョンは何ですか。
中村 オカネコを国民的サービスにすることです。お金に関する悩みを持っていない人はいないと思います。だからこそ、潜在層も含めてもっと気軽に信頼のおける形でお金の相談をし、問題を解決できるようにするために誰もが気軽に私どもにアクセスしお金の相談を持ち掛けられるようなアドバイザーを増やしていく。それを続けることによってオカネコを国民的なサービスにしていきます。
ありがとうございました。
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